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捨てるデザイン

木曜日, 4月 8th, 2010

trash

広告等のデザインでは要素を「捨てる(整理して、重要でないことをそぎ落とす)」という考え方がありますが、他の分野ではあまり採用されてされていないようです。特に電気製品の開発において「無いよりはあった方が良い」式が多いように感じます。捨てる決断をしたことによって失敗した場合の責任をとりたくない、ということなんだろうと思います。で、結局なにがウリなのかよく分からない製品が出来上がります。

そんな中でAppleは捨てることがうまい会社だなと思います。iMacでフロッピードライブを捨て、iPod shuffleではディスプレイを捨てました。また、iPhoneが出始めの頃はハードウェアキーがないという不満を目にしましたが、これは間違った主張だと思います。私たちが欲しいのはハードウェアキーではなく、快適な入力環境です。何かを捨てたとしてもきちんとした代替案があれば全く問題にはならないと思います。そして、Appleの代替案は元からあった物より良いことが多い。

iPadについてもあれがない、これがないと言われていますが、いずれ解決すると思います。それから、今後コンピュータのライトユーザーが使うのはiPad的なものが主流になると思います。ただの電子書籍端末としてではなくです。iPad「的」というのは、他社の後追い製品を含みます。コンピュータはようやくコンピュータ「らしい」外観を捨てて、もっと生活にとけ込んだものになっていくのではないかと思っています。

iPadと電子書籍とデザイン

月曜日, 2月 1st, 2010

先日のiPadの発表を見て、ようやく電子書籍が普及して出版のあり方が変わると感じられました。少し時間はかかりそうですが、おそらく2〜3年で「普及した」と実感できるのではないでしょうか。普及するまでの間、日本の出版社や取次などが抵抗を見せるも結局は流れに逆らえないといった、音楽業界が辿ったのと同じ状況が起きるのでしょう。

出版業界についてはともかく、いちデザイナーとしては電子書籍普及後のデザインのありかたについてが気になるところです。おそらくテキスト中心の一般書籍はそのまま電子化されます。あえて本として手元に残したいと思うものや、本でなければ伝えられないニュアンスといったリッチなものは印刷されるでしょう。あるいは全く逆に暇つぶしの為のペーパーバック的なもの、というように二極化するのではないでしょうか。

ここではリッチな本作りの方への対応を考えてみます。まず、本にとって印刷された内容以外の重要な要素を挙げます。紙の質感、色、厚さ、手触り、硬さ、カバーの材質、重量感、におい、汚れ、……などがあります。今でも上記の要素まできちんとデザインされている本は多いですが、今以上に重視されるようになるはずです。印刷会社もこのあたりに力を入れると思うので、今まで出来なかったようなアイデアも実現できるようになるかも知れません。

出版の状況が大きく変わりそうだからこそ、これからの数年はかなりのチャンスなのではないかと思っています。